撮影や打合せでなくとも、他県に赴く業務があったりする。
この日、宇都宮駅前での用事を済ませたのは、ちょうど空腹を覚える昼時であった。
念の為、宇都宮といえば餃子で名高い事を自分の中で確認して、
その結果、この日は宇都宮で餃子を食べない事にした。
なぜか餃子の事を考えた時に佐野ラーメンが無性に食べたくなってしまったからだ。
ひとまず車を走らせ、佐野藤岡インターから佐野市街にたどり着いた。
一旦、コンビニの駐車場に入り、どの店に行くかを決める事にし、
一度行った事のある老舗と、元気のありそうな人気店の2択まで絞り、自らを苦しめた。
10秒ほど悩んだ結果、後者に行く事にした。もちろん定休日か否かのチェックを済ませて。
私が選んだのは、「らーめん大金」というGoogle評価がずば抜けて高い人気店だ。
そういう評価なんて気にしませんよ、自らの嗅覚で店は選びますよ。
というような食通像に程遠い点が、私に残された可愛げでもあるのだ。
食後に撮った写真なので待ち客は減っているが、私が到着した時は15人ほどが店外で待っていた。
とはいえ回転が良いようで、20分ほどで無事入店できた。
店内は広く、活気と清潔感にまず驚かされる。
私は1人であったが、座敷席の4人用座卓に案内して頂いた。
斜め前の座卓では、親方の隣で正座でラーメンを召し上がるお兄さんが目に入り、
自発的なのか、そのような指導の元に正座をしているのか、とても気になる光景であった。
そんな事を考えている内に、チャーシューメンと餃子が目の前に来た。
見るからにさっぱりとしたスープで、実に好みのビジュアルである。
食欲を掻き立てるような良い香りに更に期待が高まる。
宇都宮で餃子を食べなかった余波は、佐野で発現することとなり、
入店待ち中に見たメニューの餃子の写真を見て、我慢ができなくなり注文してしまった。
早速、ラーメンのスープから頂いたが、コクのある鶏ガラといった感じで、
水筒に入れて持ち歩きたいと思わせる、上品かつ後を引くスープだった。
佐野ラーメンの特徴である青竹で打った縮れ麺は、スープに良く合い、
これはみんな並んで食べちゃいますよね、と納得の一杯だった。
餃子は3ヶで310円とリーズナブルながら、中の餡はぎっしりだけれども食感は軽いという、
高次元で矛盾した、ビールの欲しくなるタイプのものだった。
結果とても満足し、佐野に寄ったことが大正解と思えたある日のランチだった。